資金計画が必要な時とは、どのような理由が想定されるでしょうか。「手元現預金が少ない」「銀行の返済が多い」「一年間の資金の増減を知りたい」「銀行から資金計画書の提出を求められた」「大型投資をした場合資金が足りるのか不安」など理由はさまざまです。
今回は資金計画が必要な理由に応じ作り方が異なる点、そして適する計算方法について事例とともに解説していきます。
資金計画のベストな作成方法へのたどり着くには?
適した作成方法にたどり着くための3ステップは以下の通りです。
- 資金計画作成の狙いを決める(銀行返済・投資予定など)
- 期間の設定をする(3ヶ月・1年・5年など)
- 計画作成のための情報の正確性を認識する(決定情報・過去実績・見込・予測・勘など)
例(1)
①資金計画作成の狙い:来週の資金不足
②期間:1週間
③情報の正確性:請求書、引落予定
このような資金計画は期間が短く、情報がすべて正確という点が重要なので、今日からの足し算・引き算の計算のみです。簡単に想像できると思います。
例(2)
①資金計画作成の狙い:上場準備
②期間:5年後
③情報の正確性:過去の実績、投資予定、借入予定、売上計画
上場準備ともなると過去の実績の延長だけで考えるというよりも、大きな事業転換や拡大戦略が伴うことが多いと思います。となると、例(1)のように足し算・引き算の計算だけでは作成が難しいです。
このような場合には、将来の売上などから計算される損益計画をベースに計算を行いましょう。
事例で説明した2種類の計算方法はキャッシュフローの計算方法である直接法、間接法と同じような捉え方で理解できます。
直接法:資金増減額を直接計算する。(今日の売上入金額、明日の材料費支払額など)
間接法:利益と資金の差を調整する。(減価償却費を加算、売掛発生額を減算など)
資金計画が必要な事例と計算期間/方法
ここまで計算期間と情報の正確性、計算方法について述べてきましたが、具体的な事例とともに、計算方法をいくつかご紹介します。
なお、具体的な間接法の計算方法は別の回にてご紹介予定です!
事例1)業績の急な悪化に伴い毎月資金が減少している
計算期間:6ヶ月-1年
計算方法:間接法
ベースとなる損益:最低限売上+圧縮後の最小費用
事例2)金融機関から資金計画の提出を求められている
計算期間:銀行が求める期間
計算方法:3ヶ月(直接法を求められる)6ヶ月以上(間接法)
ベースとなる損益:過去の実績を元に、自力で削減できる費用の圧縮計画が中心
事例3)経営計画を元に昇給や賞与の原資を知りたい
計算期間:1年間
計算方法:間接法
ベースとなる損益:損益計画をコンサバ(保守)計画に修正(前期数値など参考)
事例4)大きな機械設備を購入したい
計算期間:回収期間or新規設備が完全に稼働するまでの期間
計算方法:間接法
ベースとなる損益:過去の実績+稼働が遅くなった場合の売上+稼働に伴う費用
本記事のまとめ
間接法であれば、売上を変更するだけで、仕入額/利益/消費税/入金額/支払額/法人税など、一気に連動して変更可能です。これだけ外部化環境が激しく変化する今日では、間接法のような随時変更できるツールや能力が必要不可欠です。
直接法は家計簿の延長線上で作りやすい反面、本当に欲しい期間や内容の資金計画を作成できないことが多いです。まずは自分自身が直面している課題をクリアするための期間や情報量を把握して適切な計算方法を選んでいただければと思います。