資金計画の立て方にはさまざまな方法がありますが、大きく分けると2つの方法があります。
- 入金額、支出額を積み上げた計算方法(≒直接法)
- 利益と資金との差を算出する計算方法(≒間接法)
今回は私が考えるフローチャートを元に、どちらの方法を使うべきなのかの判断について解説していきます。
直接法と間接法、どちらを使うべき?
「実績重視」か「計画重視」
まず最初の分かれ道が、「実績重視」「計画重視」の判断です。売上の減少が資金と一致するようなわかりやすい構造の会社には、「実績重視」にするべきです。実績重視の例は、以下のような企業です。
- 消費税が免税で、所得も出ない為納税を考える必要がない
- 親族経営している
- 売上に連動するような費用ではなく、固定的な費用ばかりである会社
サラリーマンでいうと、給与が分かれば資金計画を想定できるという状態に近いです。このような状態であれば、「直接法」が向いているといえるでしょう。
計画を作るのだから、計画重視だろうというわけではありません!
実績をきちんと把握しておけば計画も想像しやすいのであれば実績重視で構いません。
「期間が短い」「期間が長い」
次の分かれ道が「期間が短い」「期間が長い」です。この分かれ道は、必要な資金計画に応じて変わってきます。
例えば、銀行から「来月の資金繰り表を出してくれ」と言われた場合、間接法よりも直接法のほうが正確な数字が導き出せます。直接法の一番の利点である日繰資金計画が作成しやすいという面が活かされるためです。
「損益の変動小」と「損益の変動大」
最後の分かれ道が「損益の変動小」と「損益の変動大」です。実績重視に近い発想ですが、不況や季節変動を考えれば、ほぼ間違いない資金計画が作成できるのであればわざわざ間接法で複雑な計算式を入れる必要もないかと思います。
間接法がおすすめな理由
ここまで、あたかも「直接法の回し者」かのように直接法を選択するような話をしました。しかし、なぜタイトルにあるように「間接法」を推しているのかというと、「計画重視」「期間が長い」「損益の変動大」という状況こそが企業に必要な資金計画だからです。
間接法で作成する資金計画は、もはや資金の枠を超えて経営計画そのものといえます。以下の間接法での資金計画の運用方法を見ていただけると理解できると思います。
- 返済可能売上高を逆算する。
- 採用可能人数を計算する。
- 投資可能額を計算する。
- 融資時の返済条件を逆算する。
- 社員の昇給幅を計算する。
- 社員の目標売上を計算する。
- 原価の見直し幅を計算する。
- 固定費の圧縮目標を計算する。
これは私が実際に顧問先企業にて行っている資金計画の運用方法です。直接法でカバーできる状態は、努力さえすれば社内で作成することが可能だと思います。
黒字にするための売上では資金が不足することがほとんどです。だからと言って返済額だけを利益に上乗せすれば済むほど資金の増減は単純ではありません。
そのために正確な資金計画を作成し、導かれる売上や人件費、費用などを会社の目標値にすべきだと思います。