【第7回】損益計画と資金計画は連動してなんぼ

これまでの連載に共通して私が伝えたいことは、「長期的に正確な資金計画の立て方」を考えてほしいという想いです。来週までや今月末の資金繰りと言われれば、特に損益と資金の連動を考える必要はありませんが、少し長い期間となれば、どうしても損益のブレが資金のブレに影響を及ぼします。

売上が落ちればお金は入って来ませんし、経費が増えれば支出が減るはずがありません。となると、いかに先の損益の変化がどのくらい資金に影響をもたらすかをシステム的に構築・把握しておく必要があるのです。

今回は損益項目と資金項目のズレについて事例を元に説明していきます。

資金計画のベストな作成方法へのたどり着くには?

まず損益計画と資金計画の3つの大きな区分を理解しましょう。

  1. 損益の変更が資金の変更につながるもの
  2. 損益の変更が資金の変更につながりづらいもの
  3. 資金のみに影響するもの

①損益の変更が資金の変更につながるもの

損益項目の大半がここに該当します。頭から考えると「売上」「仕入」「費用」などです。

売上の変更が資金的にどのように影響するのか。まずは売上が上がれば利益が変わります。そして入金額が増えます。わかりづらいかもしれませんが、売上が変わればついてくる消費税も変わります。

入金サイト(回収までにかかる期間)が変われば入金タイミングが変わるため、今月の資金収支が変わるでしょう。つまり売上が変わったことを資金に反映させるだけでも多くの項目を計算する必要が出てくるわけです。仕入や費用も同じことが言えます。

②損益の変更が資金の変更につながりづらいもの

「つながりづらい」という半端な表現をしているのは、間接的に資金へ影響するためです。よく言われるものとしては「減価償却費」「引当費用」が挙げられます。

皆様は「減価償却費」は資金に影響しないから資金上プラスに考えると思われているでしょう。間違いではありませんが、更に付け加えると、減価償却を多く計上すれば、利益が圧縮され、法人税などの所得に対する税金が減少する効果もあります。

大きな機械などを取得した場合に特別償却を行い、税負担を減らすのはこのような仕組みに基づく判断です。(特別償却は次年度以降の償却額の減少も考慮する必要がある)

③資金のみに影響するもの

損益にはほぼ影響しない資金支出としてよく出てくるものは、「投資」や「返済」です。投資は損益ではなく貸借の資産として計上されます。

利益には直接関係しないという事です(減価償却という形で影響)。
返済も同様に利益には影響しない支出です(銀行借入などは利息として損益に影響)。

本記事のまとめ

中小企業の多くが損益優先の経営計画を作成している中、せっかくなら損益を上手に資金計画に反映すべきだと私は考えます。企業ごとに計算を考えるわけではなく、すべての項目について一定の計算方法があるのですからなおさらです。

しかし、現状上述した通り計算が複雑に見えるがゆえに資金計画まで行き着いてないケースが多いように思われます。一度ご相談いただき、御社に一番合う資金計画の作成方法をご提示させていただきたいと思います。

資金計画の作成方法
「資金計画はどうやって作ればいいんですか?」と聞かれますが、複雑と言えば複雑、単純と言えば単純です。全12回を通して、資金計画の作成方法について解説していきます。

この記事を書いた人

IGブレーン編集部

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