【第2回】資金計画を作るメリットとは?

私たちIGブレーンは財務コンサルタントという立場で、企業の計画作成や達成サポート、実績検証などを行っていますが、初めてお会いする企業には「計画は作成していますか?」と必ず聞いています。

10年前と比べると、何かしらの計画を作成している企業の割合は格段に増えています。「経営計画」「事業計画」「経営理念」「ビジョン」「経営戦略」など、一昔前は大手企業だけの産物だったものが今や地方の中小企業でも当たり前になってきているからでしょう。

一方で、資金計画はというとさっぱりです。私の感覚ですが甘く見積もっても、資金計画が全く存在しない企業が6割、簡便的な利益計算の延長線上の企業が3割といったところでしょうか。

前回も書きましたが、「資金があれば倒産しないのに、資金計画はない」という企業は非常に多いです。それほどまでに利益中心、もっと言えば売上至上経営が染みついているという事でしょう。

今回は資金計画を作るメリットとして単に資金を計算する以外の部分を中心に書きたいと思います。

資金計画を作成するメリットとは?

資金計画作成のメリットはさまざまですが、脱依存・情報の一元化・心の安定の3つがあります。それぞれのメリットについて解説していきます。

IG 寺下

もちろん資金計画信者の私としては物足りないのですが…。意外性を感じていただければと思います!

脱依存

中小企業に起こりやすい問題の1つに、特定の社員に依存した経営があります。営業マンや経理担当者、製造部の長などが長年の経験と勘、そして業務の囲い込みによる役職の維持を行い、個人への依存型経営に陥るパターンです。そしてこれが企業の存続に影響すると思いこんだ経営者は身動きが取れなくなります。

脱依存を目指すためには、まず依存対象者がいない状況のシミュレートが必要で、その結果ほとんどが短期間の影響で済みます。かえって業績が改善する場合もよくあります。このシミュレーションを行う際に、不可欠なのが資金計画です。なぜなら、キーマンがいなくなるという事はたいていの場合、利益が落ちるからです。

前述の通り、営業マンであれば売上、製造の長であれば原価、経理担当者であれば採用人件費など、損益が悪くなる要素を多分に含みます。ではなぜ楽観視できるのかというと、短期的な損益の崩れは資金計画に対する影響が小さいからです。

むしろ資金が尽きる前に改善できるのであれば、その後は良くなるばかりです。資金計画は依存型経営で判断が鈍っているときに大きな効果をもたらします。

情報の一元化

前回、資金計画を作るのは難しいと書いたのですが、その一番の要因は情報収集の難しさにあります。売上は営業マン、原価は工場長、経費は経理担当者、投資は社長、借入は専務のように、資金計画作成に必要な情報は部署や役職に散らばっているのが現状です。

裏を返せば、資金計画は情報の集約場所にもなります。正しい資金計画ができた暁には、社内の情報が一元管理できているに等しいです。現に私は顧問先の経営者に「私よりも会社のことわかっているんじゃない」と言われます。

これはただただ資金計画が情報を集めてくれているからで、そこから情報収集のルールやツールが合わされば、検証や修正計画、更には何か月も先の資金改善まで行えます。

心の安定

当たり前の話ですが、事業の継続こそが経営者の使命だと思います。利害関係者を多く抱える経営者にとっての一番のストレスは資金。そして、ただ資金が少ないのがストレスというよりも、将来の資金に対しての不安が多いようです。

資金計画が万能なわけではなく、作れば資金が増えるわけでもありません。しかし、資金が何か月持つのか、どうすればその期間を延ばせるのかは明確になります。1年しか持たない計画があればそれをどうやれば2年に延ばせるのかを検討でき、延ばした時間だけ復活のチャンスを作れます。

業績が悪いと数値に向き合うのが嫌になるとよく聞きますが、向き合うことで漠然とした不安を解消し、少ない力でも注力する部分を定めて日々過ごす方が心の安定になるかと思います。私自身がそのような経営者をたくさん見てきて感じるところです。

IG 寺下

他にも資金計画を作るメリットはたくさんありますが、まずは皆様が作成しメリットを実感していただきたいと願っております。

資金計画の作成方法
「資金計画はどうやって作ればいいんですか?」と聞かれますが、複雑と言えば複雑、単純と言えば単純です。全12回を通して、資金計画の作成方法について解説していきます。

この記事を書いた人

IGブレーン編集部

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