私はもともと税理士事務所で9年余り税金の計算をしていました。その後、財務コンサルタントとして今年7年目になります。利益にも資金にも税金が大きく影響することは当然わかっているのですが、想定外だったのが、思いのほか経営者の方には理解していただけていなかったという事です。
思い返すと、税理士事務所勤務時代に税金の計算はするものの、決算後に払う確定税金、もしくはその後中間で払う税額ぐらいしか報告していませんでした。今回は、税金の確定と支払いの時期のずれや、日常取引の消費税についてご説明します。
税金ごとの確定や支払いの時期のずれについて
会社情報の集約は誰もが望むところで、近年システム会社やソフトメーカーは省人化、自動化、ペーパーレスと同等に情報の集約化を提案しています。私の知る範囲が狭いだけかもしれませんが、その割には同じような困りごとを今でも嘆いている経営者が多く感じます。あるいは資金的なハードルで取り組むのが難しいのかもしれません。
確定法人税等
決算書に表記される法人税等という科目は、該当事業年度の所得に対する税金です。ほとんどの場合、決算書に記載されている法人税等は次年度に支払われます。つまり、次年度の資金計画に反映させるため、前期の法人税だから資金には関係ないと思わないでください。
予定法人税等
予定法人税等は、前期法人税等が確定した時点で次年度の金額、発生時期が決まります。つまり、資金計画に正確に反映できる項目です。
確定消費税等
売上等に係る消費税(仮受消費税)から仕入等に係る消費税(仮払消費税)を控除した年間の合計金額が基本的な確定消費税として算出されます。特例的な計算方法により、上記計算方法とは一致しないこともあります。
確定法人税同様、決算時に確定した消費税を翌期に支払うこととなります。よって確定と支払では資金計画上のズレが発生するという事です。
予定消費税等
予定法人税同様、前期確定消費税に基づき次年度の金額、発生時期は決まりますが、法人税とは違い回数が異なります。前期の確定消費税に応じて、予定納付なし、年1回の予定納付、年3回の予定納付、年11回の予定納付があります。
期中取引にかかる消費税
確定消費税を算出する際に、売上等に係る消費税(仮受消費税)、仕入等に係る消費税(仮払消費税)については説明しました。実は、この金額は全取引に一つ一つ付加されているものなので、計画が立てづらいものです。唯一計算できるとしたら、損益計画が作成されており、税区分設定がされていることが条件となります。
上記で説明したのは、税額の計算方法と支払時期についてのみです。これが資金計算上どう影響するのか、よくある事例を紹介します。
資金計算に影響する税金のよくある例
まずは、決まっている税額や支払時期でさえ資金計画に反映していない事例です。
例えば、予定税額の納付書が届いた時に「このタイミングでこんな大きな税金を払うとは思っていなかった」や、決算書の完成と同時に渡された確定税額の納付書を見て「もっと早く金額を教えてほしかった」などという事例です。これは簡単に計算できるにも関わらず、情報を整理していなために起こる事例ですね。
もう一つが、期中にお金がたまっている錯覚に陥る事例です。
これは売上に係る消費税が多い企業が、預り消費税という特性を忘れ、他の現預金と混在して起こります。毎月の試算表や資金計画を確認しておけば避けられる事例です。
資金計画の中でも想定しやすい税金という項目でさえも、なかなか把握できていない企業が多いです。そのため、税理士さんから決算報告を受けるタイミングで、次年度の税金計画は立て終えることをおすすめします。