これから資金計画の考え方、ノウハウについて皆さまにお伝えするなかで、そもそも「資金計画ってなに?」と思われる方もいるかもしれません。まずは資金計画が事業においてどのような立ち位置であるのかについて説明したいと思います。
資金計画の「計画」とは?
まず資金計画という言葉の「計画」とは何でしょうか。計画とは事業においてよく使われる言葉ですが、実績・見込・予算など、同じ数字を表す言葉でも種類はさまざまです。これらの言葉の違いは「時間軸」にあり、過去のものに実績、未来のものに計画・見込・予算を使います。
実績についてはいわずもがなですが、案外、計画・見込・予算については同じニュアンスで使われていることが多い気がします。それぞれの使い方は以下の通りで、企業の将来数値を考えるにあたり違いを理解しておきましょう。
公的機関などで使われる年間予算のように、費用や支出に対する頻度が多く、守るべきもの、年間累計などで達成するべきもの、変動しづらいもの。
短期間の将来数値で達成可能性の高いもの。受注前ではあるが、内諾を頂いている売上や、入社はしていないが採用予定である人件費など。
短期でも長期間でも使われるもので、実行可能性が低いチャレンジ計画や実行可能性の高い成り行き計画などがあります。使い方としては自由度が高いため、計画を作る際には、合理性(他科目との連動性)、レスポンス(修正のスピード)、根拠性(実行動との関連性)を計る必要があります。
資金計画の「資金」とは?
次は「資金」について説明します。事業における業況の判断として「利益」と「資金」という言葉があります。利益は期間業績(決算書では1年の業績)のことで、資金は時期のお金(決算書では期末の残高)のことを指します。
サラリーマンに置き換えると利益=給与、資金=通帳残高のようなものです。給与が少なくても、代々裕福な家庭であれば何の心配もいらないかもしれませんし、給与が高くても、お金がなくて困っている人もいるでしょう。まさに企業においても同じで、今でも「黒字倒産」は起こっています。サラリーマンの事例で言う後者です。
資金計画の必要性
それでは、「資金計画」とはなぜ必要なのでしょうか。なぜ「資金予算」「資金見込」ではダメなのでしょうか。
資金があれば企業が倒産しないのは事実です。逆説的ですが、予算を守るだけで資金確保ができる状態であれば悩む必要はありません。また、「近い将来の見込だけでよくて、ずっと先の資金なんて心配しないでいい」と考える方は潤沢に資金がある場合だけです。
ただ、上記のような潤沢に資金がある企業とはあまり多くはないのではないでしょうか。そのため資金計画は、先行きが見えない、手元資金が潤沢とは言えないけれども事業を継続したい企業にとって必要不可欠なものです。
資金があれば事業継続ができるなら、作成が不可欠!
資金計画を作るのは簡単ではありません。なぜなら、合理性・レスポンス・根拠性を満たす資金計画には、会計と事業の知識、自動計算できるツール、役割様々な人とのコミュニケーションが必須だからです。
しかし、「資金さえあれば、事業が絶対継続できる!」とわかっているのであれば、難しい資金計画作成にチャレンジしなければなりません。必要性を感じた方は、まず社内で資金計画作成に取り組むという意思の共有からはじめてみましょう。