中小企業は手元の資金が少なく、資金調達も容易ではないケースが多いです。また売上があっても売掛金の回収まで時間がかかるため、資金ショートを起こしてしまうことも…。今回は、「赤字で資金繰りが厳しい!」という中小企業について回る悩みを改善した事例を2つご紹介します。
慢性的な資金不足で、赤字体質…。
返済可能性の問題から金融機関からの管理も強くなっていた。
技術力の高い熟練工がやめて、外注依存度が高くなり利益率悪化…。
会社名:株式会社X工業(仮称)
業種:製造業
商圏:全国
業務内容:製缶鈑金の製造を中心とした年商3.5億円、従業員33名の企業
こちらの会社は、慢性的な資金不足がまず第一の課題としてありました。材料代などの支払は手形も多く、月に2回(手形決済日・給与支払日)ある大きな支払日前には資金集めにバタバタしていたそうです。
また、返済可能性の問題から金融機関からの管理も強くなっており、バンクミーティングまではいかずとも、毎月定期報告をしていた事で間接時間も多かったです。
そしてもう一つの課題が組織面です。それまで技術力が高い熟練工が在籍していたそうですが、現場をまとめる事はしない+若手に教えないなどの問題が頻発していたそうです。最終的には退職してしまい、外注依存度が高くなり、利益率も悪くなった時期がありました。
資金繰りで一番厳しい時期は、毎朝まず銀行へ伺い、日繰りの資金状況を報告していたくらい、慢性的な赤字体質だったそうです。
収益、財務、組織のすべてを見直し、赤字体質脱却へ
まずは外注依存度が高くなり利益率が悪化していたことから、収益構造面の見直しを行いました。以下の項目の改善を見直し、向こう3ヶ月の予定を見る事で生産体制(内作or外注)の構築が可能になりました。
・リピート品の見積方法改善(単価の見直し)
・標準原価の検討(粗利率の改善)
・受注管理の仕組み構築
こうした取り組みを行っていくうちに、財務構造面も改善していきました。収益構造面を見直した直近3年間の業績改善により、日本政策金融公庫より資本性ローンの提案を受けられることに。その前年までは借り換れ検討の相談すら乗ってくれませんでした。
そして資金面以外で課題だった組織面は、新たな幹部も育ってきて、現在では若手育成も少しずつ進んできています。県の補助事業にも採択してもらい、念願であった最新機器を導入する事にも成功。これにより、利益率・固定費も大幅に改善していきました。
加えて、高齢化が進んでいる社員の平均年齢を考慮して、機械化を推し進める事が出来、新たな生産体制が見えつつあります。
メイン銀行から支援してもらっていた毎月の短期借入金も必要なくなり、資金繰りの問題を解決!無事本業に集中できる様になりました。
赤字経営から社長と社員の溝が深まるばかり。
コンサル導入で初年度から黒字転換できた文房具・事務機販売店
「社長は会社をどうしたいんですか?」
会社名:H株式会社(仮称)
業種:卸・販売業
商圏:全国
業務内容:年商2.1億の文房具や事務機の卸や販売を行う企業。従業員17名。
当時赤字体質が続いていたこちらの会社の一番の問題は、資金繰りの改善でした。赤字が続く中で、社員からは「社長は会社をどうしたいのか?」などの意見を言われ、社員との間には大きな溝が生まれるばかりだったそうです。
提携するコンサルティング会社からの紹介で弊社の中期経営計画の作成セミナーに参加していただき、その際に目標管理の仕組みを構築する必要があることを社長は認識しました。
当時赤字経営だった主な理由は、経費過多が要因でした。最大赤字は1,000万円にまで膨れ上がっていました。
赤字体質から脱却するために、資金繰りの改善を実施。
課題だった経費過多による赤字体質を改善するために、以下のことを実施いただきました。
・固定費の見直し(1,000万円の固定費カット)
・売上分析
売上分析(外商・店舗、商品別など)を行い、オフィス家具、OA器具などを中心に攻めた。
上記改善にあたり、苦労した点も多々ありました。前社長時代から勤めていたベテランスタッフに対して給与カットやパートへの雇用形態変更依頼などを実施したため、社員からは猛反発。しかし、納得してもらうために何度も説明を実施したそうです。
その後、これまでベース売上である一般文具の売上が徐々に増え、弊社コンサルティングサービス導入の初年度から黒字転換を達成しました。初年度以降は、9期連続黒字も達成しました。
黒字転換後は、金融機関との関係も改善できたため、30年ぶりにやりたかった店舗改装もできました。これまで社長が何をしたいのかがわからなかった社員たちとの溝も徐々になくなり、関係性も良好になったそうです。
赤字脱却には、専門家による数値の見直しが必要
今回は、資金繰りが原因で赤字体質だった企業が黒字転換するために行った施策や事例をご紹介しました。中小企業は手元の資金が少なく、資金調達も容易ではないケースが多いため、資金ショートは多くの中小企業について回る不安の一つです。
今回ご紹介した事例は、業績評価の基準を「売上・利益」ではなく、「キャッシュフロー」に置くことで、自立の道を切り拓いていけたと考えています。キャッシュフローは、営業・投資・財務の3つに区分されますが、それぞれ改善するポイントがいくつかあります。
資金繰りでお困りの経営者は、一度コンサルティング会社や税理士などお金のプロに相談してみることが改善への近道です。IGブレーンでも無料相談を実施していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。