【第10回】資金計算ツールは会社情報の宝庫

このコラムを書き始めるきっかけとなったのは、今年7月に製作した資金計画用ツール「T60M」です。とある金融機関グループの主催セミナーにて資金計画について話すこととなり、折角なら驚かせるような計算式を作ってみようと思い製作しました。

今回は、この資金計画ツールを製作し運用する中で、私自身が一番感じた「会社情報の宝庫」という点についてお話しします。

経営者に必要な情報が、資金計画作成時に集まる

会社情報の集約は誰もが望むところで、近年システム会社やソフトメーカーは省人化、自動化、ペーパーレスと同等に情報の集約化を提案しています。私の知る範囲が狭いだけかもしれませんが、その割には同じような困りごとを今でも嘆いている経営者が多く感じます。あるいは資金的なハードルで取り組むのが難しいのかもしれません。

しかし、資金計画ツールに情報を入れれば、経営に必要な情報が集約できます。もちろん販管ソフトや会計ソフトほど、一取引まで詳細は分からないにしても、経営者からしたらもっと必要な情報に限定して知ることができるでしょう。

では、実際にどこまでの情報を集約できるのでしょうか。資金計画作成時に集まる情報の一例は下記の通りです。

項目情報の一例
税金・法人税、消費税(確定、予定、支払時期)
・所得から控除される繰越欠損金額
・科目ごとの基本的な消費税区分(課税、非課税、不課税)
会計・自社が使用している勘定科目(固変区分、消費税区分)
売上・売上区分ごとの売上計画(部門、事業部、商品、個人など)
・必要売上(損益分岐、返済可能損益分岐)
費用・売上区分ごと、科目ごとの費用比率(取引先ごとの仕入率など)
・科目ごとの費用計画(目的費用や季節変動など)
給与・採用計画
・個人別の昇給予定
・賞与
・社会保険料負担額
定期預金など・積立予定
・換金可能金額
返済予定・返済予定表一覧
・新規融資予定
・一括返済予定
投資予定・大型修繕予定
・新設備投資予定
・備品入替予定

過去の実績は会計データから拾えますが、将来的な情報は返済予定表や保険証券、投資予定の見積書などをファイリングされたものから引っ張り出すしかありません。

IG 寺下

あまり詳細まで書くときりがないため簡単にまとめましたが、実際にこの程度の情報ですら、集約できていないのが現実だと思います。

将来情報の集約で発生するハードル

将来情報の集約をする際、一番高いハードルは情報保持者が大人数という点です。裏を返せば、関係者から得た情報をまとめられれば宝庫と言えるものになります。

わかりやすいのが売上です。資金計画を作成する際の売上は、目標や計画より見込に近い情報が必要となります。これは経営者が考えるよりも、現場の営業マンが一番近い情報を持っているということです。営業マン各人が手元に持っている営業案件の集約となれば、大人数かつ個別データをあつめなければならないため、ハードルが上がっていきます。

しかし、資金計画作成ツールの売上に各人の売上見込が連動するように設定すれば、

・経営者は簡単に現状を知ることができる
・その売上を変動費や利益、資金にまで連動していれば、経営に必要な情報は集約できている

といったメリットを受けられます。

IG 寺下

分かりやすい例だけを提示しましたが、資金計画の万能性を信じていただき、情報の集約化の入り口として活用してみてはいかがでしょうか。

資金計画の作成方法
「資金計画はどうやって作ればいいんですか?」と聞かれますが、複雑と言えば複雑、単純と言えば単純です。全12回を通して、資金計画の作成方法について解説していきます。

この記事を書いた人

IGブレーン編集部

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