コロナの影響で業績不振が続いている企業はもちろん、その前から資金計画を必要としている企業は多いと思います。よく「資金計画はどうやって作ればいいんですか?」と聞かれますが、複雑と言えば複雑、単純と言えば単純なので一言でどうやって作るのかを話すのは難しいです。
今回は一番よく聞かれる手順について、私のベストプランを提示しようと思います。
資金計画の計算順序
まずは大きく5つの区分に分け、計算の順序に並べます。
- 借入金・リース債務・割賦など毎月の返済・支払いが確定しているもの。
- 保険積立金・投資有価証券・定期投資など毎月の支払いが確定しているもの。
- 利益・償却・売掛・買掛・在庫・税金など営業に直接かかるもの。
- 保険積立金・投資有価証券・定期投資など今後予定があるもの。
- 借入金・リース債務・割賦など今後予定があるもの。
なぜこの順序での計算がおすすめかというと、資金計画は可能な限り確実性の高いものを作るべきだからです。チャレンジ性の高すぎる売上計画や未決定の投資を先に計算してしまうと、計算された資金残高が正しいのか正しくないのかの判断が難しくなるので注意が必要です。
資金計画の計算のために集めておくべき情報
上記の具体的な計算方法は別の回でご紹介しますが、その前にこれらの計算にはあらかじめ社内の情報(データ)を収集しておかなければなりません。具体的に集めておかなければならない情報は次の通りです。
①確定している借入金・リース債務・割賦などの情報
支払先、残高、返済月額、利率など返済予定表などに記載された情報をエクセルなどにまとめる。
②確定している保険積立金・投資有価証券・定期投資などの情報
内容、残高、支払時期、支払金額などの情報をエクセルなどにまとめる。
③利益・償却・売掛・買掛・在庫・税金など営業に直接かかる情報
まずは損益計画(月々)を作成する。
売上に関しては、得意先ごとの月々売上高、入金サイトをエクセルなどにまとめておく。仕入など売上に連動する科目(変動費)は売上に対する比率をまとめておき、おおよその支払サイトを同じくまとめておく。
在庫に関しては、自社が在庫変動が大きい会社であるかどうかの判断からであるが、まとめての購入や、そもそも在庫金額が大きい会社であれば、在庫の種類ごとに情報をまとめておく必要がある。まとめる中身としては在庫名称、それぞれの月々の増減金額などで、売上の増加と整合するように調整する必要がある。
その他、仮払金、立替金、前受金、仮受金など大きな変動がある場合には情報をまとめておく。
④予定している保険積立金・投資有価証券・定期投資などの情報
②と同様の情報をまとめる。
⑤予定している借入金・リース債務・割賦などの情報
①と同様の情報をまとめる。
以上のように、会計のプロや専門家に任せるにしても、まずは社内の情報整理が必要となります。「資金計画は必要とわかりながら、何から手を付けていいかわからない」という方は、ぜひこの手順で社内の情報収集から始めてみましょう。