セーフティネット保証制度とは?コロナの影響から融資を受けたい中小企業に解説

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い経済活動へ抑制が長期化し、多くの中小企業が資金繰りに悩まされています。コロナ禍で厳しい経営に直面する中小企業が上手に資金調達するにはどうすればよいでしょうか。

本記事では、一般枠以外で好条件の融資を受けられるセーフティネット保証制度の概要を中小企業の経営コンサルティングを行っているIGブレーンが解説します。

セーフティネット保証制度とは

セーフティネット保証制度とは、特定の外的要因から経営に支障をきたしている中小企業が、本店所在の市区町村の認定を経て、一般保証の枠とは別に追加融資を受けられる仕組みです。

信用保証協会の保証付で融資を受けた企業が所定の期間内に金融機関に返済できない場合は、80~100%に当たる返済を金融機関へ行ってくれます。企業は金融機関への返済はなくなりますが、代わりに信用保証協会へ返済をしてくことが必要です。セーフティネット保証(経営安定関連保証)は、中小企業信用保険法第2条第5項に基づいており、無条件で認められるものではありません。

企業単体のミスによる業績悪化は対象とならず、あくまでも大手金融機関の破綻や特定業種の全国規模での低迷、突発的災害などの状況において期間限定で適用される措置です。

つまり、各企業ではどうしようもない不測の事態が生じた際、資金繰り悪化や業績低迷に直面する中小企業を支えるために設けられた制度といえるでしょう。

セーフティネット保証を支える信用保証協会

次に、セーフティネット保証制度を理解するうえで重要となる信用保証協会の役割について説明していきます。信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき全国各地に設けられた公的機関で、中小企業が金融機関から融資を受ける際に保証人となる存在です。

一般的に、保証人や担保など十分な保全がない中小企業の場合、金融機関からの融資は難しくなります。そこで、中小企業は一定の保証料を信用保証協会へ支払い実質的な保証人の役割を担ってもらうことで融資を受けやすくすることが可能です。

融資枠は、最大2億8,000万円となり、金額のみならず返済期間や金利についても有利な条件で資金調達できる可能性が高まります。

さらに、セーフティネット制度を利用すれば、企業が金融機関へ返済が滞った場合、手続きを行うことで代位弁済を行うことも可能です。
※「代位弁済」とは:金融機関への債務を信用保証協会が肩代わりすること。

ただし、信用保証協会が企業へ資金を提供するわけではなく代位弁済後は、信用保証協会へ返済していくことが必要です。つまり、中小企業側からすると、返済の窓口が金融機関から信用保証協会へ移ったことになります。

代位弁済を行うことで、金利負担や高額な遅延金の請求といった資金繰りの悪化を避けることも期待できるでしょう。信用保証協会へ返済時の金利は、わずか1%程度の設定に止まるため、企業に課される実質的負担は大きく軽減される結果となります。

ただし、代位弁済を行ってしまうとそれ以降の新たな資金調達が非常に厳しくなってしまう点は押さえておきたいところです。

セーフティネット保証の全8パターン

セーフティネット保証が適用される条件は、全部で以下の8種類が規定されています。

1号:連鎖倒産防止

これは、大型倒産事業者に対し売掛金債権を抱えている中小企業向けに、資金繰りのサポートを実施する措置です。条件は、50万円以上の売掛金か、50万円以下であっても企業にとって取引規模に占める割合が大きければ、同様に適用対象として認められます。

2号:取引先企業におけるリストラなどの事業活動の制限

1号のような倒産という事態には至らずとも、取引先企業が生産体制の縮小や店舗閉店などのリストラを進め、その影響で大幅な業績悪化が見られる企業に対して支援を行う措置です。

3号:突発的災害(事故など)

3号は、人為的要因が絡む事故などで業績悪化している中小企業を支援する措置。

4号:突発的災害(自然災害など)

4号は、台風や地震などの被害により業績悪化している中小企業を支援する措置です。新型コロナウイルス感染症の影響も、企業経営を脅かす自然災害として国が認めており、セーフティネット保証4号の適用対象となっています。
4号については、実際の活用方法や条件を詳しく後述します。

5号:業況の悪化している業種(全国的)

5号では、日本産業標準分類に基づき全国レベルで業績が悪化している業種を支援対象としています。コロナ禍においては、多数の対象業種が中小企業庁により公表されており、4号同様に注目の保証の一つです。

6号・7号:取引金融機関に関わる保証

取引中の金融機関が破綻(6号)もしくは縮小・合理化(7号)した影響で借り入れが減少した中小企業を支援するための措置です。

8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡

債務が整理回収機構の管理下となった中小企業の中から再建見込みのあるものが支援対象です。認定には、直近で総借入残高の減少が見られ適切な事業再生計画を提出している必要があります。

コロナ禍の業績悪化で適用のセーフティネット4号

新型コロナウイルス感染症は、セーフティネット4号に該当する自然災害として日本全国で指定案件となっています。支援対象となるには、以下の内容に合致していることが条件です。

・指定地域で企業が1年以上事業を続けている
・指定災害の影響で直近の月間売上が同月前年比で20%以上減少している

加えて、「その後、追加の2カ月間も同等の割合で売上の減少が見込める場合」という要件も付きますが、予測の話のため、よほどの例外がない限り認められるでしょう。手続きの手順は、企業本社が所在する市区町村の商工担当課などに認定申請書とその事実を証明する書類を提出します。

各役所で多少審査基準は異なりますが、認定書を受け取ったら取引を希望する金融機関や信用保証協会に同証明を持参し融資申し込み。融資限度額は2億8,000万円ですが、一般融資枠とは別枠扱いです。

そのため、セーフティネット保証枠が加わることで一般枠の2億8,000万円と合わせトータル5億6,000万円まで融資を拡大できる計算になります。もちろん、これらはあくまでも上限で月商規模が少ない企業が上限まで借り入れできるわけではありません。しかし、上手にセーフティネット保証枠を活用すれば当面の資金繰りが改善できる可能性があります。

4号保証は、責任共有制度の対象外の点が大きなメリットです。セーフティネット保証制度下で信用保証協会は、一部例外を除き融資の80%までしか代位弁済を実施しません。しかし、4号保証は100%を貸し手に保証してくれます。

コロナ禍で利用できるセーフティネットとしては、5号に該当する企業も多いでしょう。しかし、まずは100%保証の4号保証を優先的に申請するのが合理的な選択です。

有効活用したいセーフティネット保証

セーフティネット保証は、特定の条件がそろわなければ適用されない仕組みです。しかし、コロナ禍が長期化していることから、困難に直面する多方面の企業が利用を検討すべき制度として注目度が高まっています。なかには「さらに詳しい事情を知りたい」「資金繰りや融資で悩みがある」という中小企業もいるのではないでしょうか。

IGブレーンでは、無料でZoom相談を行っており最善のアドバイスをプロの視点で提供しています。資金繰りや融資に関する内容でお悩みの経営者は、一度IGブレーンまでお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

IGブレーン編集部

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