経営計画の作成が事業承継を円滑に。激変する経営環境を成功へと導いた事例2選

事業承継の内容によって、2030年にほとんどの中小企業が消滅するという話をご存じですか。中小企業庁が経営者の年代別の人数を調査したところ、中小企業経営者の中心年齢は2015年で66歳とされています。したがって、円滑な事業承継や若者の企業が進まなければ、中小企業は消滅するといわれています。

今回は事業承継の危機を乗り越えたケースとして、兄弟で問題を乗り越えた木型メーカー総合建設業でカリスマ社長の引退を引き継いだ息子の2事例をご紹介します。

危うく派閥争いに。
家業の跡継ぎを兄弟で乗り越えた製造業の事例

社長が病に倒れ、突然の引退…。

会社名:非公開
業種:工業製品の模型づくりを行う製造業
業務内容:年商4億円弱の従業員30名の木型メーカー

こちらの会社は、突然それまで壮健だった社長が病に倒れ、社長の引退が避けられない状況になったのです。社長には二人の息子がいて、同社の社員として働いていましたが、弟の方が兄より早く入社しており、そのせいか両親にもかわいがられていたそうです。

家業の跡継ぎには一般的に兄が第一候補になりますが、同社の場合は事業が複雑だったため、兄弟間で派閥争いが起きかねない状況でした。また、これまで会社の経営は社長が一手に引き受けていたので、頼りになる番頭役もいませんでした。

兄弟は、会社の現状もビジョンもわからず、途方に暮れていたそうです。

IG 宮﨑

兄弟同士で話し合いを行った結果、第三者である私たち財務コンサルタントを交えて、事業承継の問題解決と経営計画の作成に取り組むことになりました。

事業承継は早い段階から専門家の活用がおすすめ

中小企業庁は事業承継の際、第三者として専門家の活用を推奨

中小企業庁がまとめた「事業承継ガイドライン」によれば、承継計画の立案から実行までを自社単独でおこなうことは困難なため、早い段階から専門家を活用した相談・情報収集が重要であるとされています。

事業承継がうまくいく企業は、事業や財務内容に魅力があることに加え、経営の見える化ができていることが特徴です。中小企業の場合、一般に社長への依存度が高いため、社長交代と同時に会社が回らなくなることも多いです。

同社もこの時点では極めて危ない状況だったといえるでしょう。

経営理念の見直しと目標設定を含めた経営計画の作成

兄弟は一緒に、経営理念の見直しからビジョンの明確化目標の設定までを行い、中期経営計画を作り上げていきました。その過程で兄弟間のわだかまりも解消され、事業承継は見事成功しました。

IG 宮﨑

経営計画を一緒に進めるなかで、兄が社長に就任し、弟は黒子に徹するという体制となりました。ビジョンや目標がより明確になっていくことで、二人の中で何が最善なのかが見えてきたそうです。

カリスマ社長の引退後、息子が実権を握ることに。
くすぶる不満を乗り越えた総合建設業の事例

幹部が承継に不満を抱き、ひとり悩む息子社長

会社名:非公開
業種:総合建設業
業務内容:土木工事からクレーン・ダンプ事業まで幅広く事業展開している

土木工事からクレーン・ダンプ事業まで幅広く事業を展開するとある総合建設会社では、圧倒的なカリスマ性を備えた先代が君臨していましたが、引退して事業を息子に託すことに。息子は社長に就任していたものの、まだ就任2年目で経営者としては右も左もわかりません

一方でほとんど年上の幹部社員は、会長への強い忠誠心とは裏腹に、息子社長に対する不満を募らせていました。「どうやって、会社をひっぱっていけばいいんだろう」と社長は当時ひとりで悩んでいたそうです。

IG 宮﨑

社長の座を息子に譲ったものの、経営の実権は会長である自分が握っている、というケースをしばしば見かけます。組織が持続的な成長を遂げるには、新陳代謝は必要不可欠です。

事業課題を洗い出し、経営計画をもとに話し合いを実施

月次で目標の数値達成状況の話し合いを重ね、信頼を勝ち取った

同社には乗り越えなければならない課題がいくつもありました。一つは、公共工事依存型からの脱却です。これを克服しなければ、会社の存続が危ぶまれます。また、予算と実績の管理がずさんであることも、大きな不安材料となっていました。

そこで息子社長は、中期経営計画および単年度計画の作成、そして毎月目標に対する現状の話し合い(予実会議)を不満が漂う状況の中、実施しました。2年目からは、合宿形式で幹部社員と経営計画を練り上げたり、酒を酌み交わしながら、本音をぶつけ合ったりもしました。

そうすると、いつのまにか不毛な対立は影を潜め、社長は幹部社員を含めた従業員からの信頼を勝ち取ることができました。そして4年目には、公共工事依存型から完全に脱却し、売上目標を文句なしで達成しました。

IG 宮﨑

同社の4年目には、従業員に決算賞与を支給し、ホッと一息ついたときに会長が歩み寄ってきて、「よくやった」とはじめて褒め言葉をいただいたそうです!

経営計画が事業承継を成功へ導く決め手

事業承継は、第二創業と言い換えられます。なぜなら、激変する経営環境のなかで、生き残りを賭けた戦いをしているからです。そして、第二創業を成功へ導く決め手があるとすれば、それは経営計画をしっかり作成することだとIGブレーンでは確信しています。

事業承継は、親族や従業員、外部からの後継者、M&Aなどさまざまな方法がありますが、いずれの方法をとるにしても、つねに企業価値を高めるように努力しなければなりません。そのためには、中期経営計画の作成が不可欠です。

後継者をはじめ、次世代を担う人材とともに考え抜いた経営計画には、現実を変える力があります。事業承継を含む中期経営計画をしっかり作成し、次世代へのバトンタッチを円滑に進めましょう。

この記事を書いた人

IGブレーン編集部

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